※読書感想記事です。


夜は暗くてはいけないか

暗さの文化論

著者:乾 正雄

出版社名:朝日新聞社


私は暗いのは余り好きではないです。

夜も照明がこうこうとついている方が

好きです。


子供の頃、部屋の照明を点けず

卓上スタンドだけで勉強していると

親から目が悪くなるから部屋の電気も

点けるように言われていたため、

そして私の住んでいるところは、

今でこそ街頭がそこかしこにあるが

子供の時分はまだ無く、近くの集会所で

やっているそろばん塾の帰りは

夏でも真っ暗になってしまう為、

歩きながら必死に目を凝らしても

見えない闇の恐怖に、

テレビでよくやっている心霊現象が

頭をよぎりつつ、体を硬直させながら

通った思い出が、

自分の明かりの感覚を

形成しているのかもしれません。


しかし、暗いのが好きではないのは

私ばかりではないようで、

小さい頃から外でも明るい、

都会で育った人などは私以上に

暗さを嫌がる人もいるようです。


どうも日本人は、ヨーロッパの人たちに

比べ明るさを好むようです。

というか、

ヨーロッパの人たちは暗さを好み

楽しんでいるそうなのです。


これは、気候や日照時間、

建物の構造などから暗さの文化が

育ってきたようで、

目が光に弱くサングラスを使用したり、

現代でも、ろうそくのあかりを好んで

使うあたりはなるほどと思わせるところが

あります。


日本人も戦前までは家の明かりは暗いもの

だったそうで、

暗さに対する楽しみ方は心得ていたようです。


しかし現在では、私同様こうこうとした

明るさを好む、

あるいは無頓着な人が多いというのが

実状かと思います。


私は建築の仕事をしてから、

明るさに対する勉強をし、

単に明るいという。空間以外の明るさの

めりはりについては理解できるように

なりましたが、

本書は豊かな暗さという、私からしてみれば

逆の発想がおもしろく、

ちょっと専門書っぽいけどさほど

難解ではないので

専門家以外の人にもおすすめできるなぁ

なんて思いました。


よくよく考えてみれば、

何もかもが見えてしまう明るさの中よりも、

何が潜むかわからない闇、

暗さの中に見える一点の灯火のほうが

人の想像、考えるという回路を

豊かにしてくれていたのかも

しれませんね。